<記事紹介>

最新技術が評価

箱作りから物流までのソリューションを提供

IT分野に特化した新規ビジネスを展開


1984年の創業以来、一貫して海外志向で紙器・段ボール紙工機械業界に携わってきた日光マシナリー(大阪市生野区、TEL06-6716-1297)の西原彰彦社長。アジアから欧米まで輸出したマシンの台数は累計600台以上。中国や韓国の紙工機械メーカーにも多くの影響を与えた。
 30年の時が経過して、アジア諸国の紙工機械業界は、長足の進歩を遂げているようだ。
 「日本や欧州の技術を30年学んできたことで、アジアの紙器・段ボール機械のレベルは一昔前とは別次元に到達している」と西原社長は語る。また、外資系企業が携帯電話など精密機器の製造を中国で行ったことで、部品加工の技術水準が急速に高まったことも機械製造のレベルアップを支えている。
 こうした状況を西原社長は「日本発の技術が欧米を経由してさらに熟成され、ブーメランのように日本に戻ってきている」と表現する。

 同社では現在、世界一の紙工機械企業グループ のパートナーとして、自動平盤打抜機、自動平盤箔押機を販売している。既に関東地区に打抜機・箔押機を1台ずつ納めている。まもなく箔押機をもう1台納入することが決まっている。

 3,000坪以上の規模の工場に250名を超えるスタッフを有し、既に自動平盤打抜機などを600台以上出荷している。毎年二桁成長を続けている中国紙工業界をリードする存在として不動の地位を誇っている。

 

BOBSTグループとなったことでタッチスクリーンによる操作インターフェース”CUBUシステム”も採用。集中制御なので、オペレーターは生産状況を随時確認でき、スーパーコンピュータの設計により最適熱功力、トラブルなど情報も迅速に表示される。

 他社製品よりも導入コストが抑えられ、精度・耐久性・スピードといった性能面でも高く評価されている。

 

 「これまでは主要部品は日本で製造し、組立のみ中国で行うというケースが多かったが、最近では、平盤打抜機のほとんどの部品は調達が可能になっている」(西原社長)という。30年以上海外を見続けていた目がいま、日本市場に向いている。

西原社長のもう一つの顔が、テクワバリューチェーンジャパン(東京都大田区)の代表取締役。テクワ社はシンガポールトップの印刷会社で、現在IT産業に特化したユニークなビジネスモデルによって世界各国にネットワークを構築している企業。西原社長はテクワ社のパートナーとして日本における拠点の責任者を務めている。

 ソフト開発など米国のIT関連企業の標準的なモノ作りは、シリコンバレーでソフトを製造した後、第三国でアセンブリをし、そこから世界各国に出荷するという流れをとる。シンガポールは米国企業にとって重要なアセンブリの拠点で、テクワ社はソフトを入れる箱作りや印刷を受注することで成長を遂げてきた。
 数年前からは、パッケージの受注だけでなく、アセンブリから物流までのトータルサービスの提供に乗り出した。その提案は、機密保持に頭を痛めていた多くのIT企業に好評に受け入れられ、シンガポールの印刷会社から東アジアだけでも15の拠点を持つ世界的なIT物流企業に成長している。主な顧客には、APPLEやHPヒューレットパッカード、ADOBE、シマンテック、IBM、エプソン、レッドハットリナックス、アクロニス などグローバル企業の名が並ぶ。さらに2020年よりデルテクノロジーのサプライチェーンも始めている。現在では一部ソフトの製造や24時間の部品供給サービスなども手がけ、グループの売上は200億円に達している。

 西原氏は、もともと紙工機械の営業マンとしてテクワ社のトーマス・チャーCEOと30年来の交流があった。世界各国の拠点作りを進めるに当たって、知己のある西原氏にテクワ社からコンタクトがあり、2004年5月に合弁で会社設立に到ったもの。
 業績は順調に推移しており、近々在庫管理用の倉庫を拡張する計画だという。
 西原氏は「米国のIT産業の市場規模は12兆円とも言われる。IT企業はソフト開発には強い反面、物流などハードの運営は不得手なところが多く、さらに製品保護や機密保持のニーズは高まる一方」とこの事業の将来性に自信を持っているようだ。